株式会社NOLKA 株式会社NOLKA

スイーツで笑顔を、マネジメントで未来を ロピアが挑む育成の型づくり

株式会社ロピア

Overview

「スイーツから明日をもっと笑顔に」をビジョンに掲げ、チルドスイーツの製造・販売を行う株式会社ロピア。確かな品質と開発力を武器に、全国のコンビニや量販店に“おいしさと幸せ”を届けてきました。同社は「人づくり」を企業の根幹と捉え、自ら考え行動できる人材の育成に注力しています。組織としての再現性を高めるため、マネージャー層には共通言語となるマネジメントブックを、執行役員層には客観的なアセスメントとフィードバックを導入しました。 こうした取り組みの設計・実装について、NOLKAの支援内容と共にお話しを伺いました。

  • 代表取締役社長 吉田 直哉氏

    吉田 直哉 氏

    代表取締役社長

  • 人事部 小林 佑子

    小林 佑子 氏

    人事戦略室 教育・組織開発チーム リーダー

「このままでは、人が育たない」その危機感から始まった

株式会社ロピアは、チルドスイーツの製造・販売を通じて、確かな品質と開発力で事業を拡大してきました。その原動力となってきたのは、各工場・現場に根づく「現場力」と、それを支えるマネージャーたちの存在でした。

現場に一定の裁量を持たせることは、組織の柔軟性やスピード感、そして創意工夫を引き出すうえで非常に重要です。ロピアもその力で成果を上げてきました。しかし一方で、「マネージャーごとに育成やマネジメントのやり方がバラバラで、成果の出方にもばらつきがある」という課題が、次第に浮き彫りになっていきます。

経験豊富なマネージャーは自身の引き出しで難局を乗り越えられる一方、若手や新任のマネージャーは「何をどう判断すればよいか分からない」と戸惑い、育成が停滞するケースもありました。
小林氏は当時を振り返ってこう語ります。

「人によって得意・不得意、できる・できないがあって、ばらつきがあるなというのはすごく感じていました。でも、それが良いとか悪いとかじゃなくて、やっぱり判断の基準や視点がそれぞれ違っていたんだと思います。」

ロピアに必要だったのは、裁量を制限することではなく、その裁量を“組織として活かせるようにする”こと。つまり、全員が迷わず判断し、成長できるような共通の土台や言語を持つことでした。
「ロピアにとってのマネジメントとは何か?」
 その問いに向き合い、言語化していく取り組みが、ここから始まりました。

人事部 小林 佑子

“ロピアらしいマネジメント”を言語化する

マネジメントのあり方にばらつきがある。その課題に対して、まず「自分たちにとっての“良いマネジメント”とは何か」を明らかにすることから着手しました。

マネージャーたちはそれぞれの経験をもとに現場を支えていましたが、共通の価値観や判断基準がなければ、育成も支援も属人的なものに留まってしまいます。そこで、社内外の関係者とともに「ロピアらしいマネジメント」を言語化し、共有できるかたちにまとめていく取り組みがスタートしました。
このプロセスでは、NOLKAが第三者の視点から議論を設計・整理。単なる意見交換ではなく、「なぜそれが必要なのか」「どんな場面で機能するか」といった問いを通じて、マネジメントの本質に向き合う対話を重ねました。

「自分たちが感覚でやっていたことを、構造的に整理してもらった感じでした。“これって言葉にできるんだ”と気づけたのは大きかったですね」(小林氏)
完成したマネジメントブックは、マネジメントの価値観や行動基準を可視化したもの。加えて、単なる配布で終わらせないために、自己採点の仕組みや、日々の悩みをベースにした少人数での対話も組み込まれました。

「読むため」ではなく、「現場で自分の判断を整えるため」のツールへ。
 ロピアの現場に根づく力を損なわずに、共通の思考軸を持つための第一歩となりました。

マネジメントBOOK 一例

マネジメントBOOK一例

ケーススタディを活用した“気づき”を起こすしかけを

マネージャー層のマネジメントを可視化し、共通の思考軸を整えていく一方で、もう一つの大きなテーマがありました。それは、執行役員層の登用・育成の在り方です。

ロピアでは、等級制度や期待役割に基づいた評価が社員レイヤーには定着している一方で、執行役員については明確な評価基準がない状態が続いていました。
 多くの場合、「成果を出してきた人」がそのまま昇格するという流れが一般的であり、そこに対する違和感を、代表取締役の吉田氏は抱いていました。

「成果を出すことと、執行役員としてのふるまいや視点は、実は違う筋肉を使う。登用するなら、その前に“気づき”と“変化”を支援できる仕組みが必要だと思ったんです」(吉田氏)

そこでロピアは、執行役員候補者に対してケーススタディを使ったアセスメントを導入します。
 形式上の試験ではなく、実際のマネジメントや経営に近いシナリオをもとに、「どう考え、どう判断し、どう伝えるか」を問う内容です。
 NOLKAはその設計と実施において、現場観察や日常の関わりも踏まえた“実践的な診断”となるよう支援しました。

アセスメント後には、NOLKAと吉田さんによる個別のフィードバック面談を実施。本人が無意識に繰り返していた思考や行動のクセが浮き彫りになり、これまで見えていなかった自己課題に気づく機会となりました。

こうしたフィードバックは、単なる評価ではなく、自己変革のスタートラインとなります。
 アセスメント後には、各自が抱えた課題をもとに、方針発表の場で“普段の思考や行動のくせによる”表現の仕方を変革する”というテーマを持ってプレゼンする機会が設けられました。
 一方通行の育成ではなく、自ら課題に向き合い、次の一歩を決める文化づくりが、ロピアの執行役員層にも根づき始めています。

代表取締役社長 吉田 直哉氏

「人づくり」を理念で終わらせないために

ロピアの企業理念には、「人づくり」という言葉が明確に掲げられています。
 ただしそれは、単なるスローガンではありません。理念を現場に根づかせ、成果につなげるためには、日々の実践にまで落とし込まれた具体的な仕組みと関わりが必要です。

その鍵として、ロピアが次に取り組もうとしているのが、パフォーマンスマネジメントの強化です。
 マネージャーがメンバーに目標を渡し評価を下す。そうした上下の一方通行ではなく、「メンバー自身が目標に納得し、自発的に取り組める状態」をいかにつくるか。その起点となるのが、目標設定の質と、日常的なフィードバックの設計です。

「強制力で動かすのではなく、“やってみたい”を引き出す。そのために、会社としての成果と、メンバー自身の目標が重なり合う状態をどれだけつくれるかが大事なんです」(小林氏

この考え方のもと、ロピアではすでにいくつかの仕組みづくりが進行中です。
 たとえば、等級制度における「期待役割の定義」を見直し、現場の職務や実態に即した更新を行っています。また、従来のように「すべてができる人を登用する」のではなく、職務ごとに求められる特性や役割を可視化し、周囲と補完し合える体制をつくるという考え方も浸透し始めています。
この取り組みは、一部のハイパフォーマーを支えるためのものではありません。
 誰もが成長の実感を持ちながら働ける組織を目指して、個人の力と、組織の構造をつなぐ“接点”を整えることこそが、ロピアの次の挑戦です。

「“人づくり”は理念として掲げるだけではなく、行動と仕組みに落ちていてこそ意味がある。
 そのためにまだまだやることはあるし、だからこそ、やりがいもあると思っています」(吉田氏)

ともに構想し、ともに変えていく

マネジメントブックの開発や、執行役員へのアセスメント導入。
 一つひとつの取り組みは、単体で見れば“仕組みづくり”の範疇かもしれません。
 しかし、それらが効果を発揮した背景には、ロピアのメンバー一人ひとりが、自分たちの組織を「自分たちの手で良くしていこう」と考え続けた姿勢がありました。

NOLKAが外部支援者として関わる中でも印象的だったのは、提案や設計を一方的に受け取るのではなく「本当に自社に合っているのか?」「自分たちの言葉で語れるか?」と問い続けていたことです。

「ロピア様は、“答えをもらう”というより、“一緒に問いを深める”ような関わり方をしてくださる。
 だからこそ、私たちも“答えを渡す”のではなく、“ともに考える”スタンスを貫けたと思います」(NOLKA 林)


 こうした仕組みは、単なる制度づくりではなく、「人づくり」を理念に掲げるロピアの覚悟と意思の表れでした。

成果を出すだけでなく、どのように人を育て、どう組織に貢献するかを問い直すことで、現場と経営の間に“共通の視点”が生まれ始めています。
 属人性に頼らず、再現性ある育成を実現する──その道のりは、まだ途中かもしれません。
 けれども、問いを立て続け、対話を重ねながら進んでいく姿勢こそが、ロピアの強さであり、変化の源です。

人を信じ、人に投資する。
 その姿勢が、組織の未来を形づくっていくのだと、ロピアの取り組みは教えてくれます。

インタビュー

Profile 企業プロフィール

株式会社ロピア様

株式会社ロピアは、「スイーツから明日をもっと笑顔に」をビジョンに掲げ、チルドスイーツを中心とした洋菓子の製造・販売を手がける企業です。コンビニエンスストアや量販店向けのデザートをはじめ、ギフトやお取り寄せスイーツまで幅広く展開。おいしさ・品質・安心へのこだわりを追求しながら、日常のさまざまなシーンに笑顔を届けています。企業理念として「人づくり」を掲げ、自ら考え行動できる人材の育成にも力を注ぎ、食と人の未来を支える企業を目指しています。

創立1970年
事業内容洋生菓子(チルドスイーツ)を中心とした開発・製造 コンビニ・量販店向けNB、PB開発
売上高約120億円(グループ連結・2024年9月期)
従業員数846名(2024年9月末時点)

Client 株式会社ロピア様

スイーツで笑顔を、マネジメントで未来を ロピアが挑む育成の型づくり