銀行をこえる、その一歩は現場から。
Client 株式会社紀陽銀行様
Overview
紀陽銀行では、デジタルの知識を持つだけでなく自ら課題を発見し、周囲を巻き込みながら変革を推進できる人材の育成に取り組んでいます。 今回、その中核を担う入行6年目の行員を対象に、問題解決とAI活用を組み合わせた「変革リーダー研修」を実施しました。目指したのは、自分の担当業務だけでなく、支店や組織全体の課題を捉え、変革を自分事として考えられる若手リーダーの育成です。 研修後には、支店全体の業務や後輩育成にまで視野を広げて課題を捉える姿が見られました。本事例では、若手行員の視座を高め現場から変革を生み出す力を育んだ取り組みをご紹介します。
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森田 昇利 氏
DX戦略部長
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福永 将吾 氏
DX戦略部 調査役
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古野 里沙 氏
DX戦略部
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賀本 さくら 氏
DX戦略部
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井谷 柊太 氏
DX戦略部
銀行をこえる銀行へ。
DX戦略部が担う変革のハブ
紀陽銀行のDX戦略部は、2024年4月に新設された部署です。これまで部門ごとに進められてきたデジタル施策を横断的に整理し、経営と現場をつなぎながら、スピード感を持って実行することを目的に発足しました。
2024年7月に策定した「デジタルストラテジー2.0」のもと、「地域のDX推進」「銀行業務の高度化」「DX人材の育成・確保・展開」を3本柱に、各部と連携して施策を推進しています。
目指しているのは、単なる業務効率化ではありません。デジタルの力を通じて、地域やお客さまと新たな価値を共に創り出すことです。
紀陽銀行が掲げる銀行像は、「銀行をこえる銀行へ」。お客さまの期待や地域の壁をこえ、銀行という枠そのものをこえていく。その実現に向け、DX戦略部はデジタル活用の企画・推進に加え、本部各部署と営業店をつなぐハブとしての役割を担っています。
近年、特に力を入れているのがAI活用です。2026年5月には、経営方針から現場での活用方法、導入判断までを一貫して整理するAIガバナンスを制定しました。ガバナンスを制約ではなく、安心してAI活用を広げるための土台と捉え、生成AIツールの導入・活用拡大と、それを使って業務変革を推進できる人材の育成を進めています。

知識を持つ人から、変革を動かす人へ
DX人材育成を進めるなかで、紀陽銀行が重視していたのは、デジタルやAIに関する知識の習得だけではありませんでした。現場にある課題を自ら見つけ、周囲を巻き込みながら改善や変革を実行できる人材を増やしたい。そのためには、知識と実践をつなぐ育成機会が必要でした。
対象に選んだのは、入行6年目の行員です。この時期は行内での昇級期にあたり、後輩指導やチームを支える若手リーダーとしての役割が期待され始めます。
自分の担当業務を着実に遂行する段階から、職場全体を見渡し、周囲に働きかける段階へ。若手から中堅へと役割が変わる節目でもあります。
一方で、こうした層が、課題の捉え方や変革の進め方を体系的に学ぶ機会は不足していました。そこで、問題解決の基本とAI活用を組み合わせ、実際の職場課題を題材に考える「変革リーダー研修」が企画されました。
目指したのは、業務改善や組織変革に主体的に関与し、それぞれの職場で周囲を巻き込みながら課題解決を進められる若手リーダーの育成でした。

既存の研修ではなく、紀陽銀行に合う学びをつくる
研修パートナーの選定で紀陽銀行が重視したのは、自行が抱える課題と目指す人材像を深く理解したうえで、解決につながる研修を提案できるかという点でした。同様の課題を抱える企業への支援経験があり、その知見を紀陽銀行の状況に合わせて活かせることも重要な条件でした。
NOLKAを選んだ決め手の一つとなったのは、対面での丁寧な対話でした。東京から和歌山へ足を運び、目の前の研修だけでなく、その先にどのような育成施策へつなげられるかまで含めて意見を交わしました。
既存のパッケージを当てはめるのではなく、紀陽銀行の課題や育成方針に合わせて柔軟に内容を設計すること。研修を単発で終わらせず、今後の人材育成まで見据えて共に考えること。そうした姿勢が、オーダーメイドで研修をつくり上げていけるという期待につながりました。

対話のたびに、紀陽銀行にフィットする研修へと近づいていった
プロジェクトを進めるなかで、DX戦略部の皆さまが印象に残ったと振り返るのは、要望や懸念事項に対する対応のスピードでした。打ち合わせで共有された内容が、次回には研修の構成や教材へ反映されている。その速さに驚いたといいます。
ただ要望を反映するだけではなく、「より効果を高めるには、こうした方がよいのではないか」と互いに意見を交わしながら、内容を磨いていきました。
対象者の役割や現場の状況を具体的に捉え、問題解決とAI活用をどのようにつなぐかを検討する。そうした往復を重ねることで、入行6年目の行員にフィットする研修へと近づいていきました。
研修設計は、完成したプログラムを納品する作業ではありません。課題を共有し、仮説を確かめ、ともに調整を重ねるプロセスそのものが、成果につながる重要な時間となりました。

事前課題と事後課題に表れた、視野の広がり
研修の成果が最も鮮明に表れたのは、受講者が提出した事前課題と事後課題の変化でした。
事前課題を確認したDX戦略部には、「課題を十分に理解できているだろうか」「研修内容を吸収してもらえるだろうか」という不安もありました。しかし研修後の課題には、受講者の捉え方の大きな変化が表れていました。
研修前は自身の担当業務を中心に考えていた受講者が、研修後には支店全体の業務や後輩育成まで視野を広げ、課題を捉えるようになっていたのです。単に問題解決の知識やAIの使い方を学んだのではなく、「自ら課題を発見し、周囲を巻き込みながら改善を進める」という意識への変化が見られました。
変化があったのは受講者だけではありません。研修後に共有された講師所感からは、受講者の傾向に加え、紀陽銀行の組織風土や育成上の特徴も見えてきました。DX人材育成の枠をこえ、今後の組織全体の人材育成を考えるためのヒントを得られたことも、大きな成果の一つでした。
若手行員も、適切な機会ときっかけがあれば、視座や考え方を大きく変えられる。今回の取り組みは、その可能性を確かめる機会にもなりました。

個人の変化を、組織全体の変革へ
今後、紀陽銀行のDX戦略部は、「地域への価値提供」「行内におけるDX推進の浸透」「DX(変革)人材の育成・確保」の3点に、より一層注力していきます。
AI活用において目指すのは、「AIの浸透による一人ひとりの可能性の拡張」です。紀陽銀行ならではの価値を生み出すAI基盤を整備するとともに、それを活用できるAI人材の育成を進めます。人材育成も、知識を身につける段階にとどまりません。AIやデジタルを使い、課題解決や変革を推進できる人材を継続的に育てていく考えです。
今回の変革リーダー研修も、単発の取り組みではなく、継続的に実施していくことが想定されています。同時に、受講者個人の変化を組織全体の変革へつなげるためには、マネジメント層の意識や関わり方も欠かせません。
若手リーダーの育成から、マネジメント層を含めた組織変革へ。紀陽銀行は、人材育成を通じて変革を生み出す土台を、さらに広げようとしています。
個人の課題から、組織の課題へ。視野を広げ、変革を自分事として考える。そのきっかけが、ここから生まれています。
Profile 企業プロフィール
株式会社紀陽銀行様
1895年の設立以来、和歌山・大阪を中心に、地域社会に密着した金融サービスを提供。「地域社会の繁栄に貢献し、地域とともに歩む」という経営理念のもと、お客さまとの価値共創と企業変革に取り組んでいます。「銀行をこえる銀行へ」を掲げ、金融の枠をこえた地域への価値提供や、DX・AIを活用した新たなサービスの創出を推進しています。
| 設立 | 1895年5月2日 |
|---|---|
| 事業内容 | 銀行業 |
| 経常収益 | 1,023億円(2025年4月~2026年3月・単体) |
| 従業員数 | 2,125名(2026年3月31日現在・出向者を除く) |